2007年05月18日

J-REITの第3幕/REITアナリスト 山崎成人


 JREITも草創期、拡大期を経て、いよいよ第3幕に入ったと言えます。 上場銘柄数の伸びも一段落し、50銘柄程度で一旦は収束しそうな予感がしますが、これからがJREITの本番ではないかと思っています。
2001年9月に始まったJREITを、今日振り返って見ても、JREIT投資で失敗したという投資家は、よほど短気な投資家か、株式と同じ感覚で参加した投資家ではないかと思います。
基本通り中長期姿勢で投資していた投資家は、恐らくキャピタルゲインとインカムゲインの両方を得たものと思います。
今までの41銘柄の市場評価も、誰でも分かるような基準で選別されていますので、穴狙いの投資さえしなければ失敗はしていないでしょう。

さて、それではこれからはどうでしょう? 勿論、2・3ケ月先の事ではありません。
2年後・3年後を考えたとき、 「今の株価序列がそのまま生きている」と考えるのは、あまりにも単純過ぎますし、 「全銘柄の株価が上昇を続ける」という見通しは、希望的観測としか言いようがありません。
では、第3幕はどんな時代になるのか。 これは誰にも分かりませんが、少なくとも、今までの6年間と同じということはないでしょう。 又、今までのように分かり易い基準で銘柄が評価されるとも思えませんが、銘柄本位と言うほど確立した判断指標や基準も登場しないであろうと考えられます。
更に、海外投資家の比率は現在の水準かやや漸増という状態で推移しそうですので、国内の見方だけではなく、海外の見方も織り込んで考えなければなりません。
こうなると、JREITの行方を左右する因子が増えますし、海外REITと同じ基準で比べられる時期もあると思います。
何を根拠に銘柄の良否を判断するのか、株価の行方をどう読むのかと言った投資家にとって重要な要素をどのように探っていくのかという問題ももっと掘り下げていく必要があります。

私は、JREIT草創期からJREIT投資は論理的に考える人向きの投資商品だと言っていますが、恐らくこれからも同じだと思います。 JREITの仕組みを考えれば、銘柄側にフロックはありませんし、一発逆転のホームランもありません。 そして、不動産投資を長期で見れば、必ず因果関係が存在します。
従って、幅広く、そして、より深く考えた投資家が成功するという投資商品になるだろうと思いますし、又、そうなって欲しいと願っています。
投資である以上、投入した労力に見合ったリターンがあるというのが健全な状態だと思いますし、又、投資という行為を真正面から考えるような時代になって欲しいとも思っています。

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