2010年02月22日

REITの新スポンサー/REITアナリスト 山崎成人


 2月19日にジョイント・リート投資法人の資産運用会社(ジョイント・キャピタル・パートナーズ)の全株式を積水ハウス(株)と豪州REIT関連のスプリング・インベストメントに譲渡する旨の発表がありました。
これにより、ジョイント・リート投資法人のスポンサーに積水ハウスが参加することになり、ビ・ライフ投資法人への大和ハウス工業(株)に続いて、ハウスメーカ2社がREITへの参入を果したことになります。
この発表が市場にどのようなインパクトを与えるかは未だ分かりませんが、投資口価格が低迷している中で、敢えて大手企業が参入してくるという事実に注目です。

不動産全体を見れば、住宅着工戸数の減少、分譲マンションの供給減と市場の縮小傾向が見てとれますように、不動産の将来は決して明るくはありません。
その中で唯一の光明とも言えるのがREITです。
勿論、REITが万能だとは言えませんが、REITの仕組みが将来のビジネスモデルを示しているという考え方もあります。

不動産業界がREITに強い関心を持ったのは2003年からで、それまでの私募ファンドの運用経験等を生かしてREITへの進出ブームが起こりました。
当時は、REITを不動産運用主体のブランドとして見ていて、中堅不動産会社でも大手が参入しているREITに比較的容易に進出出来るのも魅力の一つでした。
その後、これらのブーム的参入がどうなったかは説明する必要もありませんが、今日再び新たな参入の動きが始まっていますが、これはREITのスクラッブ&ビルトの一環だとも言えます。
どのような大手企業であっても、新しくREITを設立するのは難しいですから、既存REITのスポンサーになる方が近道になります。
今回の積水ハウスの参入では、第三者割当増資で14億円程度の供出がありましたが、M&Aの例から見ればかなり低いコストですから、将来の可能性を追求する投資としては魅力があります。
もしかしたら、このような点に着目して他にも新たな参入が続くかも知れませんが、第1次のブームとは様相が異なりますから、水面下の動きが多くなりそうです。
そして、こういう状況はREITの将来を明示しているとも言えます。
REITは今は低迷していますが、このモデルは衰退・消滅することなく、不動産の中心としての位置を維持し、少しずつ足元を固めて行くだろうと思います。
これを投資家の目線で見れば、ワクワク感もありますし、未完の仕組みに対する期待とリスクの読み方は、人によって異なりますから、投資チャンスも秘めているのだと思います。


マーケットコラム バックナンバー
2024/04/12
2023年度のJ-REIT価格動向と地価上昇の影響/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/04/02
物流系銘柄に投資する場合の注意点/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/03/15
割安感強まる物流系銘柄/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/02/26
株式を持たざるリスクに晒されるJ-REIT市場/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/02/09
アパグループ傘下となった大江戸温泉リート投資法人の投資ポイント 【関 大介】
バックナンバーをもっと見る
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。
* 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。
* 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。
* 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。
J-REIT情報open
記事・ニュースopen
ETFopen