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J-REITファン2017 レポート(5)
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1-3.特別講演「プロの見方! 2017年のマーケット展望とJ-REIT投資のポイント」
イベント最後の催しとなった特別講演は、トークセッション同様、櫻井英明氏を進行役とし、株式市場やREIT市場の分析で名高い以下のお二人をお迎えして行われました。
・武者陵司氏
株式会社武者リサーチ代表
・石澤卓志氏
みずほ証券株式会社
市場情報戦略部上級研究員
国際経済や歴史も交えた大きな視点から株式市場の分析を行う武者氏は、サイバー空間を現実世界の大陸に続く「第七大陸」と位置付け、そこの覇権を握った米国は、新しい大統領がヒラリー氏であってもトランプ氏であっても成功が保証された位置にあったとしました。
その上で、積極的な財政支出や減税を掲げるトランプ政権の成立は、もともと成功が保証されていた米国経済をさらに力強く加速させるとの見通しを示すとともに、最強の米国経済は為替相場に円安ドル高の奔流を巻き起こし、それにつられて日経平均も2017年内に2.5万~3万円に到達するのではないかという強気の読みを披露しました。
続く石澤氏は、オフィス等の実物資産市場の取引利回り推移や賃料の動きといった各種データを踏まえ、東京23区を中心とした不動産市場について、価格水準はバブルとは言えないが「実需の限界」に達しつつある可能性を指摘しました。
一方で不動産市場の今後の懸念材料として話題に上がる「2018年以降のビル大量供給」問題に対しては、2018~2020年の1年当たり供給量は130万㎡程度で過去30年の平均供給量約103万㎡と比べて図抜けて多い水準ではないこと、そもそも供給の中身は既存ビルの建て替えが中心で供給量の純増は見かけの4割程度にとどまることから大きな影響はないのではないかとの見方を示しました。
このように強気材料も弱気材料も一方的な流れを作るには力不足で不動産市場が方向感を欠く中、トランプ大統領の発言といった予期しない突風に翻弄されることがないよう、2017年は例年以上に「不測の事態への対応」が重要性を増すと石澤氏は強調して特別講演会を締めくくりました。