2010年07月16日

再度レジデンスセクターについて/REITアナリスト 山崎成人


 賃貸マンションの特性として、テナント回転率の高さが挙げられますが、この回転がスムーズに運ぶことは、賃料収益に欠かせない要素です。
今日のように、賃貸マンションが溢れている時代では、建物・立地等のハード面だけでなく賃貸事業のソフト面での充実も必要となります。
然しながら、賃貸斡旋の現場は斡旋不動産業者とPM業者によって占められていて、REITの資産運用会社が手を出しにくい構造になっています。
レジデンスセクターの大半のテナントは個人ですし、しかも若年層が主流ですので、恐らく現場でのトラブルも多いものと推察します。
賃貸マンションを探したり入居したりする人にとって、トラブルが最も大きなリスクになりますが、起こってしまったトラブルは、往々にしてテナント側が納得しない形で決着を見る事も多いようです。
トラブルには敷金返還の問題もあり、それ以外にも多岐に亙るはずですが、実際に起こったトラブルをスムーズに解決する手段は殆どありません。
行政として国交省の管轄する(財)住宅紛争処理支援センターがありますが、強制力がある訳ではありませんし、最終的には裁判までいかないと決着しませんから、賃貸物件ではそこまで行くのは稀です。
賃貸市場と言っても、若年層が主流の構造では、どうしてもテナント側が不利な状況に置かれていますから、このバランスを是正するような方法も必要です。
その為には、REITの賃貸物件専門に紛争処理を行う機関を設立することは有効です。
REITの物件に限っての紛争処理の第三者機関ですから、それ程の大きな体制は必要ありませんので、運営費用も多額にはならないと思います。
このような機関があれば、REITの賃貸物件は物件探しの段階でプライオリティが付きますから、テナントを惹きつけます。

多くの人にとって不動産のトラブルは悩みの種になりますが、これをスムーズに解決する事は現実的には困難なのです。しかも、テナントの対応は海千山千の不動産屋が主体ですから、気の毒な状況になるのは目に見えています。
こういう状況を放置してレジデンスセクターを運用していれば、最終的には投資家のリスクに跳ね返っていきますから、避けられるトラブルを回避するような方法は、広い意味での合理的な運用手段だと言えます。
今日、建物のハード面での格差は縮小していますので、ソフト面での差別化を図ることがREITにとって必要です。 その意味でも、REITはこういう考え方を持って、市場に攻勢を仕掛けるという意識を持って欲しいと考えています。


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