2016年11月11日

東証REIT指数の算出方法変更とその影響/アイビー総研 関 大介

 11月9日、トランプ氏が次期米国大統領に就任することが決まりました。
日本の市場が開場している時間には、トランプ氏が大幅な優勢という状況でしたが、事前の予想とは異なる情勢で推移していたため、9日の株式市場は大幅な下落となりました。
一方でJ-REIT市場は、取引時間中に急落する局面もありましたが、その後は反発しました。東証REIT指数は前日比0.49%安い1,754.39ポイントで9日の取引を終えました。株式市場の下落傾向が続けばJ-REIT価格にも影響を与えることになりそうですが、6月に英国がEU離脱を決定した時と同様にJ-REIT価格は比較的早く反発するものと考えられます。



1. 東証REIT指数の算出方法の変更

今回は、東証が10月19日に公表し2017年から導入予定(※1)の東証REIT指数の算出方法変更(※2)とその影響について記載します。

まずは算出方法に関してですが、これまでの「時価総額加重平均」から「浮動株時価総額加重平均」へと変更となります。
東証が算出している他の指数であるTOPIX等と同様に東証REIT指数も固定株を控除して算出するというものです。
J-REITにおける固定株(正確には「固定投資口」)とは、有価証券報告書などの公表資料から主要投資主上位10位、投資法人や資産運用会社の役員、自己保有分のことを指します。但し、投資主上位10位のうち資産管理専業の信託銀行など東証が浮動株(正確には「浮動投資口」)とみなすケースは固定株には含まれません。
このような東証の記載から、投資主上位10位のうち、その銘柄のスポンサー企業が保有する分や前述の資産管理専業の信託銀行などを除く地方銀行などの金融機関が保有する分が固定株に該当することになりそうです。
なお、日銀の保有分については、詳細な記載がありませんでした。但し、公表資料から判断するという前提がありますので、日銀保有分は含まれないと考えられます。日銀が保有している分は、資産管理専業の信託銀行名義で購入されているため日銀という名称では公表されていないためです。
また、日銀が大量保有報告を出している14銘柄は公表資料が存在しますが、大量保有報告提出義務がない5%以内の保有分は公表資料が存在しません。大量保有報告が提出されると固定株が急に増加するという状態になりますので、日銀保有分を固定株とすることは難しいものと考えられるのです。



2. 算出方法変更に伴う影響は?

次に算出方法変更の影響ですが、既に固定株比率が高い銘柄の価格が下落するというかたちで顕在化しています。
図表は、前述したスポンサー企業保有分と地方銀行などの金融機関保有分を固定株としてその比率が高い10銘柄を載せたものです。
東証が変更を公表した翌営業日である10月20日には、固定株比率が最も高い大和証券オフィス投資法人(証券コード8976)の価格は前日比5%以上下落することとなりました。

価格が下落した要因は、固定株比率が高い銘柄の東証REIT指数に占める時価総額の割合が減少するためです。
J-REITの投資信託やETFには、東証REIT指数と連動するように銘柄を組入れる商品があります。それらの投資信託やETFは、時価総額が減少した銘柄の保有割合を落とす(売却する)必要が生じることになるのです。
今回の算出方法変更は影響を軽減するため、2017年1月から各月の最終営業日に固定株部分を順次除外し5月に完了する予定としています。従って固定株比率が高い銘柄は、2017年も算出変更が終わる5月までは価格が下落しやすい状況が続く可能性があります。


※1:11月18日までパブリックコメントを募集しているため、算出方法に変更などが行われる場合があります。

※2:詳細は以下のURLの資料をご覧ください。
http://www.jpx.co.jp/rules-participants/public-comment/detail/d3/nlsgeu000001zmxp-att/ap_j.pdf

※3:実施は算出方法変更の影響を軽減するため、2017年1月から各月の最終営業日に実施し5月に完了する予定としています。

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