REIT注目記事

2015年03月02日

グローバル・ワン不動産投資法人(8958)

グローバル・ワンは「近・新・大」、すなわち「近(立地の優れた物件)、「新(築年数の浅い物件)」、そして「大(大型の物件)」への投資に特化するというモチーフのもとに組成されたJ-REITだ。Aクラスの資産に投資するという原則のもと、投資物件は、大手町、銀座や青山など、都心のビジネス街や商業地にあるオフィスビルが中心である。また、投資家と投資法人関係者の「利益相反の排除」を最重要のポリシーとして、どの企業グループにも属さないように注意が払われている。

大手町ファーストスクエア

ここがポイント

2008年の世界金融危機による日本企業のリストラの影響を大きく受けたものの、この問題をようやく消化し、新たな成長路線に移る可能性が出てきた。金融危機当時は、この投資法人はAクラスのオフィスビルに投資していたことから、テナントの賃料がもともと高く、その分だけ賃料の引き下げ要請が強まった。また、各企業がリストラにより部署の閉鎖や統合を実施した結果、大型テナントの退出も目立った。しかし、金融危機の影響が後退したうえ、アベノミクスによるデフレ脱却と円安により、足下では、日本企業は国内回帰の姿勢を示している。その結果、同投資法人が保有する一流物件が見直され、さらに賃料の上昇から、内部成長が期待できる状況になってきた。
 ただし、TK南青山ビルだけで、投資比率が2割を超えるなど、ポートフォリオの分散は十分ではないとの指摘もある。一等地にあることで、高額物件が多いことが背景にある。それだけに不動産相場や、景気動向にともなうテナントの経営状態の影響を受けやすく、株価のボラティリティ(株価の変動性)が大きくなりやすい点には留意しておく必要があろう。

物件探訪

主要な投資物件を見よう。首都機能を担う地区のオフィス物件が中心であり、高額の物件が多い。

物件1

TK南青山ビル 350億円(当初投資金額、以下同様) 21.7%(投資比率、以下同様)
青山通りに面するオフィス・レジデンス。東京メトロ銀座線の青山一丁目駅から徒歩2分、また外苑前駅から徒歩4分。敷地面積は3,038㎡で、地下2階、地上17階で、03年に竣工。不動産会社が開発し、私募ファンドが買収し、さらに05年にグローバル・ワンが取得した。過去には、ソニーコンピュータエンターテイメント、ワールドが入居したが、15年9月からは東急不動産が入居する予定。

物件2

大手町ファーストスクエア 234億円 14.6%
日比谷通りと永代通りの交差点に位置する、ツインタワーのオフィスビル。地下鉄の大手町駅に直結している。地下5階、地上23階建てで、敷地面積は11,042㎡。NTT都市開発、三菱マテリアル、また東京海上等が開発者で、92年にウェストタワー、97年にイーストタワーが竣工した。一部を明治生命のSPCが買収したのち、グローバル・ワンは03年に取得した。同投資法人が取得したウェストタワー(18〜22階)の2フロアには、NSユナイテッド海運(東証1部上場)が入居している。

物件3

明治安田生命さいたま新都心ビル 247億円 14.1%
さいたま新都心駅(JR在来線・新幹線)に直結するオフィスビル。明治安田生命により02年に竣工。私募ファンドを経て、グローバル・ワンが07年に取得した。敷地面積7,035㎡で、地下3階、地上35階。(独法)水資源機構や埼玉労働局、クラリオンが入居している。

物件4

平河町森タワー 182億円 11.3%
国会議事堂や最高裁など日本の中枢機関に近い場所にあるオフィス・レジデンス。青山通りに面し、地下鉄半蔵門線永田町駅まで徒歩1分。敷地面積は5,592㎡で、地下2階、地上24階。上層部がレジデンスである。森ビルが開発し、竣工は09年。テナントは、公的機関や外資系企業が多い。グローバル・ワンは、11年に取得した。

物件5

横浜プラザビル 179億円 11.1%
JR横浜駅から徒歩5分にある。延べ床面積6,601㎡で、地下1階、地上12階。10年に竣工。14年にグローバル・ワンが取得した。1階-2階はパナソニックリビングショールームが入居している。

銘柄概要

2015年02月13日時点

項目データ
銘柄名 グローバル・ワン不動産投資法人
略号 GOR
コード 8958
設立 2003年4月
上場 2003年9月
決算 3月・9月
運用会社 グローバル・アライアンス・リアルティ株式会社
資産管理会社 三菱UFJ信託銀行株式会社
投資対象 三大都市圏中心のオフィス・レジデンスビル
系列 明治生命、三菱UFJ、近鉄など分散
総資産 1,756億円
純資産 764億円
投資口 193,800口
売買単位 1口
格付け AA-(JCR)
投資主 日本トラスティ・サービス信託銀行(22.59%)
資産管理サービス信託銀行(7.88%)
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

※財務テータは2014年9月末時点

業績の推移

決算期項目単位2010年2011年2012年2013年2014年2015年
3月 営業収益 百万円 4826 3,962 4,331 4,491 6,296 5,235
当期純利益 2022 1,142 1,347 1,403 2,079 2,022
1口当り分配金 20875 11,791 13,902 14,483 19,365 9,400
9月 営業収益 百万円 4220 4,087 4,288 4,393 3,981
当期純利益 1370 1,082 1,273 1,286 1,173
1口当り分配金 14142 11,167 13,138 13,281 6,053

※15年3月期は会社予想
※15年9月期は市場予想

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