日本不動産の主役は外国人投資家/池島 麻美
日本の不動産市場においてもはや主役となっている外国人投資家。今回は現物不動産や不動産株、JREITなど不動産市場における「外国人投資家」についてお話させて頂きます。
2006年の外国人投資家の不動産取得額は3.3倍に膨らみ130億ドルに達したということです。
日本国内の不動産は米国や豪州のファンドを中心に買われており、日本国内の不動産取引の金額は25%を占めております。
米不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサールの調べによると、海外投資家によるアジア・太平洋地域での不動産の取得額は前年比58%増の300億ドルに拡大、そのうち43%は日本向けだというのです。(日経金融新聞5月18日より)
ここ最近の地価上昇や低金利で、外国人投資家による日本国内の不動産の取得は大きく拡大しております。
というのも外国人投資家からすると、日本のオフィスや住居の賃料はまだまだ上昇すると考えられているのです。
前々から、こちらのコラムでもお話させて頂いております不動産の価値を決める収益還元法が普及し今は主流となっております。
「収益還元法」とは、簡単に言いますと「将来生みだす収益」から還元利回りで還元して不動産価値を出す方法です。
この「将来生みだす収益」とは、賃料から管理費用、維持コスト、金利などを差し引いたものですので、言い換えれば「賃料が不動産価値を決める」ということなのです。
賃料が上昇すれば不動産価値も上がるのです。
しかも日本の賃料の上昇は、他国に比べてかなり緩やかだと言われております。
欧米では年に2割から3割上昇することもあります。
しかし、日本の不動産は企業との契約は一年や半年契約、住居でも2年更新など長期的な契約が多いため、値上げ出来にくいということもあるのです。
そのため日本では平均でも数%の上昇にすぎません。
よって日本はまだまだ賃料は上昇余地はあり、地価上昇は続くとの外国人投資家の見方なのです。
ちなみに不動産株の買いにも外国人投資家が目立ちます。
5月半ば大手不動産会社3社の決算では、純利益は過去最高、株価も上昇しております。
業績、株価ではバブル期をすでに超えていますが、外国人の持株比率が、以前のバブル期とは大きく変わっているということです。
外国人持株比率におきましては、バブル期の多いころで10%前後だったのが、今では、三菱地所が38.8%、住友不動産が37.5%、三井不動産が45%ということで、外国人の増加が目に見えて増えているのです。
またJ-REITにおける投資家の内訳は、法人で40%、個人投資家32%、外国人投資家が32%ということです。
不動産利回りと資金調達の金利差が大きいということからは、海外の不動産市場と比較する安定した利回りとの認識があるとのことです。
今後、さらに外国人投資家が日本の不動産市場をリードしていくのか、それとも日本不動産つまり日本の土地だけに日本独特の商売性というものが勝るのか。
不動産市場の変化はまだまだ始まったばかりのように思えます。
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