2008年02月08日

J-REIT関係者に必要とされる動き/REITアナリスト 山崎成人


 JREIT株価が低迷している事で、マスコミ等では否定的な論調が目立っていますが、一方で、株価が下がったことで配当金利回りが上昇し、魅力的な利回りに達したことで、物色の時期だという見方も台頭しています。私のセミナーでも、機関投資家からは買いのタイミングだと思うが、どの銘柄を選べば良いかが難しいという声も聞かれます。
確かに現在のJREITを冷静に見れば、選別眼さえあればまさに拾い時ですが、その判断の基となる情報が不足しています。
従って、こういう時期にこそJREITのPR活動が求められます。
それには、先ず銘柄側から動かなくてはなりませんから、投資家への説明機会を増やし積極的にアピールをしなければなりません。
私も活動の一環として3年前から続けている投資家セミナーを今年は極力回数を増やすつもりですので、より多くの銘柄に参加を呼びかけたいと考えています。
一方、投資家と銘柄を繋ぐ役割を担っている東証にもそれなりの働きが必要です。
05年頃には東証でもJREITセミナーを開いていて、私も何度か講師として参加しましたが、その後は機会がなくなりましたので、そろそろ復活を呼びかけようかとも考えています。
何れにしても、今の状態を身を潜めて見守るだけだけでは無策だと言えますので、銘柄及び市場関係者は攻勢に出る必要があります。

JREITは株式と違って債券に近いインカム型の投資商品ですので、株価が下がれば配当金利回り上昇しますので、投資家にとってインセンティブが働きます。
又、過去の株価推移を見ていると、3年間保有していれば、総合収益でマイナスとなる可能性は極小ですので、銘柄にとってまさにアピールのチャンスなのです。
今年は、年初に日本ビルファンド投資法人と野村不動産レジデンシャル投資法人の増資が発表されましたが、今後も増資を必要とする銘柄が控えていますから、スムーズなエクイティ調達の為にも市場関係者の協力が必要です。
勿論、JREIT全ての銘柄のエクイティ調達を可能とする方策はありませんが、今の市場ムードでは、比較的順調な銘柄の増資にも支障を来たす可能性もありますので、投資家への情報伝達機会を増やして、より質の高い情報を提供する必要があります。
私の見通しでは、今夏ぐらいまでは今の状態が続くかもしれませんので、今年は活動を活発化させて乗り切るという銘柄と市場関係者の覚悟と努力が必要だと考えています。

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