2008年03月10日

不動産ファンドとサブプライムローン問題/池島 麻美


 前回はサブプライム問題について書かせて頂きましたが、今回は不動産ファンド業界の影響についてです。
急成長した不動産ファンド業界。海外を含めた私募ファンドで10兆円を超え、REITで7兆円と拡大(2008年に入り5兆円弱)を続けてきましたが、サブプライム問題の金融機関への影響から資金調達が厳しくなっているとのことです。
そもそも成長してきたビジネスモデルが、私募ファンドで不動産を購入し、その後REITや別のファンドに売却し差益を得るという展開です。しかし最近は新規のファンドに物件を移動させることでの銀行融資が厳しくなっているのです。
サブプライム問題などの影響で金融機関から私募ファンドへの融資が厳しくなったこととだけでなく、REIT市場の低迷も考えられます。
これまで拡大してきたREIT市場ですが、今年に入り5兆円弱にまで縮小しております。株式市場の下落により新投資口発行による資金調達が厳しくなり、物件を私募ファンドから購入することが難しくなったということです。
これらの要因で非常に不動産ファンドの資金調達が厳しくなっている状況なのですが、私募ファンドは3年から5年程度で償還が始まります。
2008年はちょうど、2002年~2003年頃の市場拡大時期の私募ファンドの償還が迫る時期でもあるのです。
ファンドの償還が本格化するにあたり、買い手がなければ物件を安売りすることも考えられます。地価下落の要因になる可能性もあります。
一方、この悪状況の中、日本の不動産ファンドに投資する外資系の金融機関の傘下の不動産会社が増えております。欧米では高止まりしている不動産市場ですが日本を含めたアジア市場への展開を見据えての投資とのことです。
日本市場に参入する外資系不動産ファンドは、国内の金融機関や不動産会社と提携し長期的に開発から携わることが多いそうです。
長期的に日本にかかわるとなると、不動産事業自体の国際化も考えられそうです。
不動産ファンド業界もサブプライム問題から資金調達難、物件移管の問題、償還時期、それから外資系ファンドの日本市場進出など、転機を迎えるのではないでしょうか。

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