2008年03月14日

REITのスポンサー事情/REITアナリスト 山崎成人


 フロンティア不動産投資法人のスポンサーの日本たばこ産業が三井不動産に交代するという発表があった後に、オリックス不動産投資法人の資産運用会社に大京が参画、更に、今週にはプレミア投資法人の資産運用会社に総合地所とトータルハウジングが参画と、REITのスポンサーに動きがあります。
これ以前にも、イー・アセット投資法人のスポンサーの交代、クレッシェンド投資法人、エルシーピー投資法人のスポンサーの異動で外資系の参入がありました。
このように既存銘柄のスポンサーが動く背景には、REITの新規上場が難しくなっている事が挙げられます。新たに新規銘柄を立ち上げるよりも、既存銘柄に相乗りする方がリスクは小さいという判断だと思います。
このような動きは、2年前からセミナー等で話していて、新規参入よりも既存銘柄への参画の方がREITへ参入し易いと勧めていました。
私のセミナーを聴いてこういう動きになったのかは分かりませんが、スポンサーとして加わった企業の中には、頻繁に私のセミナーに参加していた企業がいくつかあります。

それでは、実際の効用はどうかと言うと、参画した事で株価が上昇したり評価が改善したりするという短期的効果は限られます。
やはり、その後の資産運用でプラス効果をもたらさなくてはなりませんので、息の長い取り組みが必要です。
但し、REIT全体で見れば、スポンサーが増え、又、外資も参入してくるという状況はプラスです。
REITは株式市場と違って買収防衛策も講じませんし、外資に対する抵抗感も株式市場に比べれば弱いのです。
かつて、ある資産運用会社に買収リスクについて聞いた際に、買収は投資家利益に叶う場合が多いので、資産運用会社が反対する理由はないと言っていた事もあります。

このように考えると、REITのスポンサー異動そのものは、投資家にとって問題ではなく、異動後の動きが問題と言えます。
もっと言えば、REITの3分の1ぐらいは外資系で占められた方が面白いかもしれません。
日本の市場は海外発信力が弱いですから、外資系が参入することで弱点をカバーしてくれる可能性もありますし、多様な考え方で資産運用が行われれば、それだけ投資家の選択肢も増えます。
「淀んだ水は濁る」とも言いますから、REITは常に流れる状態を維持して進化していくことが将来の可能性を広げると考えています。

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