2010年07月23日

オフィスビル市況はどうなるのか?/REITアナリスト 山崎成人


 相変わらず都内のオフィスビル市場は低調で、稼働率・賃料とも渋い展開が続いていますが、必ずしもこのまま我慢していれば自然に好転するとは思われません。勿論、多少の好転はあるでしょうが。貸し手がじっとしていれば何とかなるとものでもなさそうです。
元々、東京のオフィスビル面積は世界一の規模ですから、量としては充足されていますので、今回のオフィスビル市場の不況を機に差別化による競争市場へと移行していくような気がします。
実際に競争力の問題となれば、個々のオフィスビルの立地の将来性や地区の相対的ポテンシャルを読む必要になりますし、建物の設備・スペック等にも注意を払わなければなりません。
こうなると、保守的なビル経営では行き詰る可能性もありますし、1棟・2棟しか保有していないオーナーは<外れ>を引く確率が高くなります。

但し、これは視点を変えてみれば、正常な競争状態に移行するという見方も出来ますから、テナントにとっては、もう暫くこの状態が続いて、淘汰が進む方が良いかも知れません。
都市全体で見ても、築古の中小ビルが再開発よってリニューアルされた方が良いですし、建設需要によって景気が刺激されますから、淘汰の時代の方にメリットがあります。
又、オフィスビルが建物のハード面でなく、利用というソフト面まで差別化が求められるようになれば、米国のような様々な利用形態やオプション契約にまで手が加えられるようにもなります。
1990年代に一時流行した、シェアドテナントサービス(日本ではサービスオフィスとも呼ばれた)も復活するかもしれません。
特に、最近の企業は固定費削減にも取り組むようになっていますから、シェアドテナントサービスによって、実質事務所賃料が低減出来るようになる事は歓迎されそうです。
会議室や打ち合わせスペースの共用化、IT設備の共同保守等テナントサービスは色々考えられますが、ニーズさえ上手くキャッチ出来れば差別化の要素にもなります。
そしてこのような方向に進めば、オフィスビルのオペレーションが専門化していきますので、新たなビジネスの可能性も生じます。
土地があって、そこに建設会社にビルを建てて貰えば、それで万事OKという時代に比べれば遥かに面白いですし、様々な革新の芽も生まれますので、願わくはこのビル不況がもう少し続いて、新たな時代に移行して欲しいと思います。



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