2010年11月26日

FCレジデンシャル投資法人について/REITアナリスト 山崎成人

 FCレジデンシャル投資法人の大口投資主(保有比率第2位)であるエスジェイ・セキュリティーズLLCより投資法人の解散を求める投資主総会開催の招集の要請がありました。
投資法人の発表では、投資法人を解散し、保有資産を売却して投資主に投下資本回収の機会を得る為の解散請求とあります。
これをもう少し具体的に述べると、直近決算(平成22年4月末現在)のB/Sでは、
総資産  25,146百万円
負債合計 10,049百万円
ですから、単純計算では、総資産-負債合計=15,097百万円になり、
これを1口当たりに換算すると、約461千円/口になります。
一方、投資口の市場価格は11/24終値で231,300円ですから、単純計算による清算価値は約2倍になります。
簡単に言うと、このまま存続させるより、解散して資産を売却した方が投資主にとっては利益が大きいという事だと思います。
勿論、資産売却は額面通りには行きませんが、仮に60~70%掛けになっても、未だこちらの方に利があるということだと考えられます。

このような計算は別として、今回の件をどのように見れば良いかが気になりますが、 原則から考えると理屈は通っています。
REITは投資家の為の仕組みですから、このままで推移しても投資口価格の上昇が期待出来ないのであれば、解散して清算する方が投資主利益に資するという事だと思います。
従って、これを否とするには、存続させる方が投資家利益を大きく出来るという根拠を示さなくてはなりません。
仮に投資主総会でこのような議論が戦わされれば非常に興味が湧きます。
仮定の話ですが、 存続派は「もう少し我慢すれば、市場が好転するのでは」という見通しに立って議論を展開すると思いますが、これは、不動産価格は循環変動するという過去の経験則が根拠になります。
一方、解散派は循環変動によって投資価値が回復するという根拠が薄弱という議論になるかもしれません。
どちらの将来の見通しが正しいかは別として、曖昧な見通しを可とするか、それとも現在の状況を冷静に見て、合理的な選択をするかという違いではないかと思います。
恐らく、日本的な考えでは角を立てない前者だと思いますが、外資は現実的に見た合理性だと思います。
賃貸市場の回復や不動産価値の反転については、他の投資法人も年内又は来年前半で底を打つという見通しを述べていますから、これらの見通しを盾にして議論も出来ますが、市場の回復についての根拠は明確ではありませんから、解散派は譲らないと思います。
従って、今回の件がどのような方向に向かっていくのかは予断を許しませんが、この件での議論の展開はREITにとっても有意義だと思います。
資産運用会社が述べる今後の見通しと予測は、不動産会社のそれと同じで良いのか、 大勢に合致していれば良いのか、という事も改めて問われますし、REITの戦略とは何かと言う根本的な問題も孕みます。
REITについては、改めて原則から考え直して、その在り方や戦略を再構築する時期に来ているのだと思います。

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