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2015年11月26日

【後編】物流不動産の未来を考える

日本物流不動産機構推進協議会主催 第9回セミナー

こうした環境、課題は物流施設にどのような影響を与えていくのでしょうか。
まず物流業従事者の高齢化や若年労働者の流入減は、既存の従事者に負担の少ない設備への転換、さらにはロボット技術等も利用した省人化を否応なく進めていくことでしょう。
通販やe-コマースの隆盛を背景とした貨物の小口化については、物流施設に対してより精密な宛先ごとの振分を要求していくことになると考えられます。
都市圏内での中小倉庫老朽化、機能陳腐化はどうでしょうか。倉庫に求められる機能が高度化、複雑化していることと合わせ、郊外のより先進的な大型施設への需要を高めていく方向に作用すると考えられるでしょう。
以上をまとめると、より先進的な技術、機器が投入された大型物流施設への需要は今後も堅調に持続する一方、そうした施設を建設するためにより多額の投資資金が必要になってくるという構図が描けます。
郊外の大型物流施設に顧客を奪われた都市圏の中小倉庫が続々と廃業していく中、その跡地を巡って他用途への転換、再開発が活発化してくる状況はでてくるのではないかと思います。

今後は資産としての物流不動産にどういった動きが出てくるのでしょうか。
物流不動産の高機能化、大型化は企業にとっては開発費の増大、そして減価償却費負担の増大をもたらします。そこで企業がREITという仕組みを利用して開発費を調達したり、或いは開発済み施設をREITに売却することで減価償却費負担を回避するという行動がより普及してくると予測することができます。
また、物流施設で省人化、無人化の流れが強くなってくると、従来の価格鑑定時に重視されてきた「従業員確保の容易さ」が重要性を失ってくるとも考えられます。それは既に稼働済みの物流施設にとって鑑定価格の下落をもたらしかねない一方、新規開発時にはより柔軟な立地の選定を可能にするという利点も生みます。

以上のように様々な変化が見込まれる物流不動産について、既存J-REITは果たして柔軟に対応して安定的な収益を獲得していけるのでしょうか。
それをチェックする際の着目点としては、投資法人の投資方針、過去の投資の巧拙、柔軟な投資戦略も余裕のある財務状況からということで財務上の健全性を計るLTVが考えられます。
そうなると、投資家にとってそれらがまとめて掲載されている各J-REITの「資産運用報告書」がより重要性を増してくると言えるのではないでしょうか。

 

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