スマートフォン版を表示

2023年08月21日

平和不動産リート投資法人

FISCO REIT REPORT

平和RE Research Memo(3):2023年5月期は、賃貸事業利益の増加により修正予想を上回る

■業績動向
1. 2023年5月期の業績概要

平和不動産リート投資法人の2023年5月期(第43期)の業績は、営業収益8,049百万円(前期比2.7%増)、営業利益4,015百万円(同0.1%減)、経常利益3,559百万円(同0.2%減)、当期純利益3,558百万円(同0.2%減)であり、営業収益及び各段階利益はいずれも2023年5月22日に期初予想から上方修正した予想を上回って着地した。オフィス及びレジデンスの稼働率、賃料増額改定が堅調に推移し、既存物件の賃貸事業利益は増加したものの、前期取得物件の固定資産税・都市計画税の費用化、外部成長に伴う販管費の増加により、各段階利益は前期比微減となった。ただ、修正予想を上回ったのは、主に賃貸事業費用が予想を下回ったことによる。なお、REITでは、税引前利益の90% 超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。

外部成長としては、レジデンス5物件、オフィス1物件を取得する一方、オフィス1物件の準共有持分を売却した結果、2023年5月期末の運用資産は合計125物件、221,044百万円(取得価格合計)に拡大した。内部成長としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.9%(前期比0.2ポイント上昇)と、コロナ禍前の2019年5月期以来の最高値を更新した。期中平均稼働率は、オフィスが99.1%、レジデンスも97.1%と高位安定で推移した。また、高い稼働率を背景に、NOI利回り(実質利回りとも言う、実績賃貸業利益(年換算)/((期初帳簿価額+期末帳簿価額)÷2)×100で計算)も5.1%(同0.1ポイント低下)と、引き続き高水準を維持している。財務運営では、期間対比の調達コストは過去最低水準を更新し、平均調達期間は7.3年と過去最長となり、健全な財務体質を堅持している。

以上から、EPU(1口当たり当期純利益)は3,195円(前期比6円減)となったものの、内部留保のコントロールにより、DPU(1口当たり分配金)は3,160円(同30円増)と15期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比8円減の2,749円となったが、外部成長の通期寄与考慮後(期中で取得した物件が、期を通して寄与したとして算出した場合)では前期比12円増の2,769円であった。これらの着実な成長に加え、同REITは分散の効いたポートフォリオ(125物件)、十分な内部留保(55.0億円)、低い鑑定LTV(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)(40.6%)、コミットメントライン(70億円)、格付AA-(安定的)(2022年6月に格上げ)など、外部環境の変動に備えて十分なリスク耐性を備えている。

平和不動産リート投資法人FISCO REIT REPORT

 

2. 財政状態

2023年5月期末の財政状態は、総資産231,994百万円(前期末比4.7%増)、純資産112,811百万円(同0.2%減)、有利子負債109,817百万円(同10.3%増)であった。平均調達金利は0.735%(同0.011pt上昇)となったが、有利子負債の平均調達年数は7.3年(同0.1年増)であった。主要金融機関との良好な関係の下、今後は比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期有利子負債比率は99.8%、固定化比率は70.2%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。

一方、鑑定LTVは40.6%と良好な低水準を維持しているが、2023年11月期初の公募増資により39.5%に低下する見込みだ。同REITでは、同比率40~50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。

平和不動産リート投資法人FISCO REIT REPORT

 

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

本記事の重要事項(ディスクレーマー)はこちらのリンクの資料よりご覧ください

掲載内容に関しては株式会社フィスコIRにお問い合わせください。

1|2|3|4|5|6
  • PR

  • PR

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 GLP +1.06%
2 ザイマックス +0.16%
3 タカラリート +0.10%
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。
* 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。
* 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。
* 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。