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2015年12月17日

【中編】不動産投資・運用ビジネスの新たな課題と成長戦略

不動産証券化フォーラム

パネルディスカッション1回目は、「投資家層の拡大に向けて -年金の不動産投資の現状と今後の課題」という題で、司会、パネリスト共に錚々たる方々をお迎えして行われました。

司会
・宮城大学 事業構想学部 教授 田邉信之氏
パネリスト
・三井住友信託銀行 不動産営業第一部 アレンジメント担当部長 高井良博氏
・野村證券 フィデューシャリー・マネジメント部 シニアコンサルタント 西迫伸一氏
・みずほ信託銀行 投資プロダクツ開発部戦略開発チーム参事役 小川剛宏氏

まず田邉教授が、人口やインフラが高齢化し、それを支えるための資金需要が強くなる一方で資本主義の成熟化によって事業や伝統的な投資商品であった株式、債券から得られる利潤が低下傾向にあること、にも関わらず投資マネーは高い利回りを求められ国境を越えたグローバルな取引、或いはオルタナティブと呼ばれる非伝統的な投資分野への参入を活発化させているという時代的な背景を説明しました。
この説明を踏まえ、人口の高齢化がとりわけ著しい日本の年金基金が非伝統的な投資分野の一つである不動産にどうした考えや姿勢で臨んでいるのか、パネリストの方々が実務経験も踏まえつつ意見を交わしていきました。
そこでまず浮かび上がってきたのは、日本の年金基金が全体としては不動産投資には積極的ではない現状です。
その要因としてパネリストの方々が挙げたのが以下の点でした。

  1. そもそも資産規模の小さいため、高額な現物不動産に手が出せない年金基金が多い。
  2. 投資が年度計画に沿って行われるため、掘り出し物の物件がいつ出るかわからない不動産投資と相性が悪い。
  3. バブル期や2007年前後のミニバブル期に投資して失敗したトラウマが未だ根強い。

上記要因のうち、3番目はともかく、1と2については少額からでも投資可能、個別不動産の掘り出しと購入はプロに任せられる、そういう金融商品があれば克服可能だと考えられないでしょうか。実際そうした設計になっているのがJ-REITや私募REITであり、現物不動産への投資を躊躇っている年金基金にもJ-REITや私募REITを通じた不動産投資は徐々に受け入れられているという指摘がパネリストから出ていました。特に私募REITは小口からの投資も可能なことに加え、投資口価格の変動も株式市場の影響を受けるJ-REITより緩やかな点がうけ、資産規模100億円~1,000億円の年金基金を中心に急速に投資が増えているということでした。
最後に、年金の不動産投資が今後より普及していく上で必要なこととして、約130兆円とも言われる総資産規模を誇るGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の不動産投資参入とともに、不動産情報の可視化・透明化に向けた一層の開示強化を挙げてパネルディスカッション1回目は幕を下ろしました。

 

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