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マーケットコラム

再成長に乗り出すJ-REIT、投資上の留意点とは/アイビー総研 関 大介

2026-02-27

関 大介

1. 2025年は過去最低水準の増資規模

2月25日にジャパン・ホテル・リート投資法人(JHR)は、「ハイアットリージェンシー東京」(東京都新宿区)を1,260億円で3月13日に取得することと併せて、増資を公表した。ホテルの取得額としてはJ-REIT最大物件であり、日本ビルファンド投資法人(NBF)が取得した「新宿三井ビルディング」(取得額1,700億円)に次ぐ大型物件となる。2026年に入ってからJ-REIT市場での増資はJHRを含めて3銘柄となった。

一方で、J-REIT市場の増資規模は2025年は過去最低水準となっていた。2025年の公募増資額は736億円と、リーマンショック直後の667億円以来となる低い水準となった。また2025年の増資額は12月に3銘柄が440億円の調達を行った結果であり、11月までの増資は極めて低調であった。


2. 外部成長の効果

J-REITは利益の大半を投資家に還元する仕組みとなっており、物件売却益や合併時の負ののれんを除くと、内部留保は極めて少ない。さらに不動産賃貸専業であるため、不動産事業会社と異なり、物件開発と売却という資産回転型の事業形態となっていない。
従ってポートフォリオ規模核(外部成長)のためには、増資により資本調達を行う必要がある。外部成長を行う理由は、以下の3点が挙げられる。

(1)分散効果
不動産賃貸専業のJ-REITでは、テナント退去による収益への影響を極力回避する必要がある。従ってテナントや物件の分散効果を高める外部成長が必須とも言える。

(2)時価総額の拡大
増資による外部成長は出資額(資本額)が増加し、時価総額も併せて拡大することになる。時価総額が小さい銘柄では、機関投資家の投資が期待できないため、一定程度の時価総額を持つことは価格上昇のために必要な要素となっている。

(3)資本市場から資金調達力
J-REITは投資家からだけでなく金融機関からの借入金も併せて物件を取得している。借入金は、実質的には返済時に借換えすることでJ-REITは事業が継続する仕組みとなっているが、金融機関からだけでなく資本市場からの資金調達力が常にあることを示す必要がある。


3. 外部成長銘柄への投資上の留意点

このようにJ-REITでは増資が必須とも言えるが、すでに上記の条件を満たしている銘柄が増資を行う場合でも、投資家は増資の効果を判断する必要がある。

例えば(2)の時価総額の拡大は教科書的には必須だとも言えるが、J-REIT市場の評価とも言える利回りには表れていない。例えばインヴィンシブル投資法人は、時価総額が5,000億円を超える大型銘柄であるが、利回りは6%近く(2月25日)とJ-REIT市場で2番目に高い利回りとなっている。前述の(1)から(3)を備えているが、投資家からの評価は利回り面では高くない。

J-REITの外部運用型であり、スポンサーが存在する仕組みとなっている。外部成長はスポンサー側から見て傘下の銘柄に安定的に物件を売却できることにつながり、また運用会社の運用報酬拡大にもつながる。
従って投資家は、増資に対して投資家側のメリットがあるかを判断することが重要となる。特に不動産価格の高騰が続く中で、金利が上昇している今の状態は増資を行うことが投資家にとってデメリットとなりやすい。外部成長が既存のポートフォリオや収益性を毀損する可能性もある時期となっている。

このような状況で、投資家として増資銘柄を判断する際に最も端的な指標は「借入金の調達構成」だと考えられる。変動金利の調達は固定金利より低い金利となるが、日銀の利上げの影響を直接的に受けるため収益への影響が大きい。
増資時に分配金の成長を打ち出すが、従来の借入金と比較して変動金利の調達が多くなる場合は、実質的に金利変動リスクを抱えた増配とも言えるためだ。このような銘柄への投資は慎重に行う必要があるでしょう。

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