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2016年06月03日

【前編】2016年5月24日ARESセミナーレポート

ARESセミナー

(写真/PIXTA)

デフレ脱却を目指して日銀がマイナス金利導入に踏み切り、企業業績や大学新卒の就職率の好調さが報じられ、湾岸地区タワーマンションの価格が高騰する一方、株価は昨年に比して力強さを欠き、企業の設備投資や賃上げのペースは鈍く、オフィス賃料の伸びも緩慢なままと、強弱の程度がいまいちわかりにくい景気状況が続いています。
そんな不透明な環境で機関投資家やファンドは不動産市場をどう評価し、投資を行っているのか? そこを探るため、5月24日、一般社団法人不動産証券化協会(以下、ARES)主催のセミナー「第161回実務研修会『JREI 第34回不動産投資家調査』および『ARES不動産私募ファンド実態調査』『私募リート関連の取組み』等報告会」に参加してきました。

当該セミナーの内容は以下の通りです。

【第一部】
・JREI 第34回不動産投資家調査結果報告
講師:一般財団法人日本不動産研究所 研究部 兼 国際部 参事 愼明宏氏
・DBJ Green Building認証概要説明
講師:一般財団法人日本不動産研究所 証券化部 兼 業務部 主席専門役 古山英治氏

【第二部】
・第11回 不動産私募ファンド実態調査結果報告
・私募リート関連の取組み報告
講師:ARES 事務局次長 企画広報部長 奥井英貴氏

【第一部】-1.JREI 第34回不動産投資家調査結果報告

ここでは、一般財団法人日本不動産研究所(以下、JREI)の愼氏より、JREIが資産運用会社や銀行、年金基金といった機関投資家、そしてデベロッパーや不動産賃貸業者を対象として半年ごとに行っているアンケート調査「不動産投資家調査」の2016年4月時点結果の報告が行われました。
この報告で注目されるのは、以下の点です。

・丸の内、大手町のAクラスオフィスビルの期待利回りが3.7%となり、ファンドバブル期の2007年10月時点に記録した3.8%を突破した。
・今後1年間の不動産投資スタンスについて、「新規投資を積極的に行う」の回答割合は88%であった。
・現在と半年後の不動産市況について質問したところ、東京(丸の内、大手町)の半年後については市況のピーク圏という認識が最多であった。
・前回、前々回の調査に比して、オフィスの期待利回りが低下から横ばいに転じる地域が目立ち始めた。

不動産市況について、現在は強気でも近い将来のピークアウトを視野に入れ始め、低い期待利回り(=割高な不動産価格)に慎重になりつつある機関投資家の姿勢が窺えます。

【第一部】-2.DBJ Green Building認証概要説明

続いて、同じJREIより古山氏が不動産の環境性能・社会的責任を評価するDBJ Green Building認証※の概要とJ-リートが最近積極的に当該認証を取得している背景を説明しました。
DBJ Green Building認証というのは、日本政策投資銀行(以下、DBJ)が環境や社会に配慮した不動産を支援・評価するために2011年に開始した認証制度です。「国内トップクラスの卓越した『環境・社会』への配慮されたビル」を最高ランクとする5段階評価で認証されます。現在、認証申請件数と実際に取得できた件数の比率は大体2:1となっているようです。また、類似の制度に欧州から始まったGRESB評価がありますが、こちらがリートや企業の不動産ポートフォリオ全体を評価対象としているのに対し、DBJ Green Building認証は個々の不動産を評価対象としているという違いがあります。
こうした認証制度が始まった背景には、先進国を中心に「環境や社会への責任を果たしている企業等を評価し、投資や融資の面で優遇していこう」という考えが広まったことにあります。
最近、各JリートがDBJ Green Building認証をはじめとした環境認証の取得を積極的に進めているのは、環境や社会への責任に敏感な内外の機関投資家に安心して投資してもらうためということでしたが、他に無駄な光熱費がかからない、新しい考え方・評価軸に対応した築浅物件を多数保有していると投資家にアピールできる点も見逃せないでしょう。

※日本政策投資銀行(DBJ Green Building認証)に関するページ

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