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マーケットコラム

株価の見方/REITアナリスト 山崎成人

2007-06-01

REITアナリスト 山崎成人


 JREITの株価は二極化してはいますが、一部の銘柄は中下位グループから上昇してきていますし、上場当初から高値で推移している銘柄もあります。
株式投資では株価が全てであり、市場には見えざる手が働いているという考え方もありますが、JREITでは必ずしも当てはまりません。
元々、JREITは保有型の投資商品であり、投資目的もインカムゲイン(配当金)になりますので、頻繁に売買するのは純投資として考えている投資家で、JREITを理解している投資家は長期保有になっています。
従って、市場での取引口数は株式と比べれば少なく、僅かな取引口数で株価が形成されますので、株価がその銘柄の実力を表しているとも言えないのです。
この意味でも、全てが自分のリスクとなる個人投資家にとって、単純に株価を見て銘柄判断を行うことは危険を伴います。

それでは、株価をどのように見れば良いのかという事になりますが、長期投資商品であるJREITでは、株価も中長期で見るということです。 上場から数回の決算を行い、資産内容などが固まってきた銘柄の株価推移は実体を表すようになりますから、せめて3回、出来れば2年(4~5回)は見ておきたいものです。
上場後しばらくは株価が低迷し、ある時から突然上昇を始めた銘柄は、その理由が明確でない場合は、過大評価されているという事も考えられますし、上場後から一貫して高い株価で推移している銘柄では、資産内容などが追随しているかという点もチェックポイントなります。
また、配当金の安定度を見るのも重要です。 目先の配当金の多寡だけを見るのではなく、2~3年先の配当金見込みも不動産投資では見ておく必要があります。
不動産を使った投資では、目先だけならば何とか繕えますが、3年先となると分からないというアバウトな運用もあり得ます。
JREITであれば、少なくとも3年先程度は考えた上で運用を行うのが当たり前ですので、目先で投資家に迎合しようとしている銘柄は要注意です。
特に不動産価格が上昇している現在は、目先重視で動いて配当金を稼ぐことで、大口機関投資家の関心を惹くことも出来ます。

今は、企業年金等は不動産への投資傾斜を強めていて、目先の配当利益重視で、将来のリスクについては鈍感になっています。
不動産価格の上昇局面では、常にこういう投資主体が存在しますし、結果としてこのような資金流入が価格高騰を加速させることは良くあることです。
自らの資金ではない投資主体は、今見える結果が最も重要です。受託者責任を負っているものの、市場環境変化のリスクは投資方針に含まれてしまうのです。投資ウエイトを高め、将来の損失リスクを自らが大きくしている可能性を検討するよりは、目先の果実を得ることに関心が向きやすいのです。
いつの時代にもこういう大口投資家は存在し、市場のボラティリティを大きくしていますので、個人投資家は冷静に市場を見ておく必要があります。 多額の資金を動かす者が、正しい判断をしているという保証はありませんし、よく深く考えているとも言えません。
今のように不動産が過熱している状況では、個人投資家の冷静な行動が頼りとも言えますので、自分達の将来の損失を招くような行動を避けて、長期に亙って安定した果実を得るような投資判断をお願いしたいと思います。

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