2022-04-29
1. 直近のJ-REIT価格動向
4月以降のJ-REIT価格は安定的な値動きが続いている。東証REIT指数は4月7日以降2,000ポイント台を回復できない展開が続いているが、4月27日まで1,970ポイントから1,990ポイントの狭いボックス圏での推移となっている。
3月から4月のJ-REIT価格上昇を支えた米国の長短金利差フラット化は、米国の2年債利回りが4月23日以降急速に低下しているため解消している。
J-REIT価格にとってマイナスとなる要因があるが、分配金の安定性という面から景気の先行きに不透明感が増す中で、投資資金の退避場所となっている可能性がありそうだ。
2. インフレとJ-REIT投資
J-REITは資産の大半を不動産が占めている。従ってインフレが進行し不動産価格が大幅に上昇すれば、J-REITにとってプラスになると考えられる。価格が大幅に上昇した保有不動産を売却することで、分配金を大幅に増加させることも可能となるためだ。
言い換えれば、インフレによってJ-REITに対し投資家が高い分配金利回りが必要と考えたとしても、J-REITは売却益を積み重ねることで対応が可能な投資商品と言える。
一方で安定的な分配金の維持という面ではマイナスとなる可能性がある。その理由は、物件売却益を除外した賃料ベースの分配金、いわゆる巡航分配金に対してインフレはマイナスの影響が大きいためだ。
巡航分配金を支える賃料は景気動向に対して遅効性を示す場合が多い。例えば、オフィスビルの賃料は一般的な契約期間である2年の場合でも、その期間中は賃料が増加しない。つまり巡航分配金はインフレに追いつけないという特性を持っている。
更に景気後退とインフレが重なるスタグフレーションとなった場合には、J-REITにとって大幅にマイナスとなる可能性が高い。不動産価格の上昇の一方で、賃料が低下する局面になれば、J-REITは不動産を取得して外部成長を行うことが難しくなるためだ。
この場合、J-REITは投資家の高い利回り期待に応えるために、物件売却を続けるだけという状態になり、ポートフォリオ規模は縮小を続けることになる。そしてポートフォリオ規模の縮小は巡航分配金水準を更に低下させることなるため、売却益の更なる拡大が必要になるというポートフォリオ規模にとってはマイナスの連鎖局面となる。
また売却益依存が高くなるため、これまでJ-REIT投資の「安定的な分配金」という要素が削ぎ落とされることとなる。
このようにインフレとなった場合、不動産価格の上昇がJ-REITにとってマイナスとなる側面も多いという認識を持つことが重要と言えるだろう。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | アドバンス・ロジ | +2.39% |
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2 | コンフォリア・レジ | +0.64% |
3 | NTT都市開発リート | +0.09% |
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