J-REIT市況月次レポート

J-REIT市況月次レポート　2014年10月

１．REIT全体市況

10月の東証REIT指数（配当なし）は、前月比+45.66ポイントの上昇。月前半は、欧米の株価下落や香港の民主化デモを材料に、世界的に景気の先行き不透明感が表われ、株式相場の下落に追随して、約半年ぶりの大きな下落局面となった。17日は1,598.57と2ヶ月ぶりに1,600ポイントを割り込んだが、月初からの下落率が4.3%とTOPIXの11.2%に対し調整幅は限定的なもので底堅い推移であった。月後半は、米国相場の反転や好調な国内企業業績を背景に反発。更に31日は日銀の追加金融緩和の一環として、REITの年間買入れ額を従来の3倍の900億円とのサプライズ発表を受け、前日比+58.97ポイントと今年最大の上げ幅、終値は1,716.55とリーマンショック後の高値を1年7ヶ月ぶりに更新した。10月における日銀の買入れ額は64億円と、9月の41億円を大きく上回った。追加緩和により月平均75億円の枠が設けられたことから、時価総額9兆円のREITにおける一段の下支え効果が期待できる。日銀がインフレ2%をターゲットとすることで、インフレに連動しやすいオフィスビルや都市型商業施設、ホテルの銘柄の投資口価格が上昇しやすく、特に出遅れ感のあるオフィスビル系銘柄に上昇余地があると見られる。一方、平均分配金利回りが3.31%まで低下している点から見て、分配金の増加スピードが追いつくかが投資口市況に影響すると考えられる。仮に分配金の増加傾向が裏付けにならないと、相場と実体に乖離が生じ、投資口市況は一時的な過熱感に終わる懸念もある。

個別銘柄では、積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人、スターツプロシード投資法人、ヒューリックリート投資法人が公募増資を発表。ヒューリックリート投資法人は、2月上場後僅か9ヶ月の短期間での増資となる。上場以降投資口価格が大幅上昇したため、プレミアム増資による分配金増加の恩恵を受けやすい。この好機を捉え資産規模を1,014億円から1,482億円へ一気に拡大する。投資口価格は増資後調整したものの、IPO発行価格108,000円に対し増資発行価格は39%高の150,150円で決定し約187億円を調達見込み。これを原資に「御茶ノ水ソラシティ」他6棟（取得額計467億円）を取得。有利子負債比率は30%から38%程度に上昇するが、分配金水準を維持しながら外部成長を果たす。

新規上場の動向では、11月5日に日本ヘルスケア投資法人（資産規模132.8億円）が上場し、27日にトーセイ・リート投資法人（同174億円）、12月3日に積水ハウス・リート投資法人（同1,143億円）が上場予定。投資口市況の見通しが明るい点や比較的小規模での上場が続く点から、2015年はREIT設立の動きが更に増加すると見られる。

＜市況データ＞

	2014年10月末現在	（前月末比）
東証REIT指数（配当なし）	1,716.55	+45.66
東証REIT指数（配当込み）	2,942.29	+83.06
時価総額合計	9兆3,428億円	+4,786億円
平均分配金利回り（時価総額による加重平均）	3.31%	-0.06％

＜東証REIT指数と予想分配金利回りの推移＞　　（グラフは2012年11月～2014年10月の24ヶ月間）

２．個別銘柄データ

2014年10月末現在
証券コード	投資法人名	投資口価格（円）	騰落率（1ヶ月）	予想配当利回り	時価総額（百万円）	時価総額シェア
8951	日本ビルファンド投資法人	622,000	7.80%	2.42%	878,264	9.4%
8952	ジャパンリアルエステイト投資法人	608,000	7.80%	2.52%	760,930	8.1%
8953	日本リテールファンド投資法人	223,700	1.22%	3.73%	543,635	5.8%
8954	オリックス不動産投資法人	148,000	7.32%	3.47%	313,891	3.4%
8955	日本プライムリアルティ投資法人	410,000	3.80%	3.01%	338,250	3.6%
8956	プレミア投資法人	489,500	-0.10%	4.09%	107,053	1.1%
8957	東急リアル・エステート投資法人	154,500	6.85%	3.17%	151,039	1.6%
8958	グローバル・ワン不動産投資法人	345,000	11.47%	5.45%	66,861	0.7%
8959	野村不動産オフィスファンド投資法人	494,000	-1.59%	4.21%	184,041	2.0%
8960	ユナイテッド・アーバン投資法人	175,100	4.04%	3.25%	439,894	4.7%
8961	森トラスト総合リート投資法人	199,400	-1.72%	3.66%	263,208	2.8%
8963	インヴィンシブル投資法人	38,000	7.65%	3.16%	101,410	1.1%
8964	フロンティア不動産投資法人	513,000	-2.47%	3.66%	254,448	2.7%
8966	平和不動産リート投資法人	91,200	1.45%	3.69%	80,388	0.9%
8967	日本ロジスティクスファンド投資法人	250,300	3.26%	3.06%	207,749	2.2%
8968	福岡リート投資法人	208,200	2.81%	3.22%	143,658	1.5%
8972	ケネディクス・オフィス投資法人	592,000	0.51%	3.34%	210,166	2.2%
8973	積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人	109,000	1.96%	3.91%	110,440	1.2%
8975	いちご不動産投資法人	83,700	0.72%	3.66%	85,903	0.9%
8976	大和証券オフィス投資法人	594,000	0.34%	2.72%	261,954	2.8%
8977	阪急リート投資法人	636,000	0.79%	3.90%	76,002	0.8%
8979	スターツプロシード投資法人	181,900	-1.14%	4.47%	26,371	0.3%
8982	トップリート投資法人	459,500	-4.37%	4.33%	80,872	0.9%
8984	大和ハウス・レジデンシャル投資法人	470,000	0.00%	3.67%	175,719	1.9%
8985	ジャパン・ホテル・リート投資法人	68,700	2.84%	3.00%	191,761	2.1%
8986	日本賃貸住宅投資法人	77,400	1.57%	4.44%	114,170	1.2%
8987	ジャパンエクセレント投資法人	147,400	4.61%	3.33%	178,759	1.9%
3226	日本アコモデーションファンド投資法人	405,500	2.40%	3.82%	187,107	2.0%
3227	ＭＩＤリート投資法人	279,400	3.06%	4.15%	51,305	0.5%
3234	森ヒルズリート投資法人	156,100	2.43%	2.96%	245,083	2.6%
3240	野村不動産レジデンシャル投資法人	588,000	2.80%	3.95%	94,550	1.0%
3249	産業ファンド投資法人	910,000	0.11%	3.70%	150,634	1.6%
3269	アドバンス・レジデンス投資法人	261,400	2.51%	3.44%	339,820	3.6%
3278	ケネディクス・レジデンシャル投資法人	293,300	4.60%	4.05%	81,866	0.9%
3279	アクティビア・プロパティーズ投資法人	904,000	2.61%	3.49%	226,960	2.4%
3263	大和ハウスリート投資法人	498,500	2.57%	3.28%	146,300	1.6%
3281	ＧＬＰ投資法人	125,600	-0.87%	3.51%	300,276	3.2%
3282	コンフォリア・レジデンシャル投資法人	208,300	2.16%	4.05%	83,872	0.9%
3283	日本プロロジスリート投資法人	258,700	1.41%	2.93%	447,745	4.8%
3285	野村不動産マスターファンド投資法人	134,900	-2.03%	3.59%	224,644	2.4%
3287	星野リゾート・リート投資法人	1,125,000	-2.17%	2.90%	48,340	0.5%
3290	ＳＩＡ不動産投資法人	420,000	-3.45%	5.31%	31,542	0.3%
3292	イオンリート投資法人	141,400	3.21%	3.44%	134,330	1.4%
3295	ヒューリックリート投資法人	167,100	-5.11%	3.29%	108,949	1.2%
3296	日本リート投資法人	322,000	7.15%	4.39%	48,883	0.5%
3298	インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人	101,200	-1.56%	3.30%	43,787	0.5%

予想利回り算出方法：年換算予想分配金（当期予想分配金＋次期予想分配金）／投資口価格

但し、決算期が年1回の銘柄：　年換算予想分配金（当期予想分配金）／投資口価格
※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する

※GLP投資法人（3281）、日本プロロジスリート投資法人（3283）は利益超過分配金を分配金に含めて算出する

バックナンバー

※2013年11月以前のバックナンバー（PDF）はこちら

1	新宿三井ビルディング	1,700億円
2	飯田橋グラン・ブルーム	1,389億円
3	六本木ヒルズ森タワー	1,154億円
4	汐留ビルディング	1,069億円
5	東京汐留ビルディング	825億円

1	インヴィンシブル	+1.90%
2	オリックス不動産	+1.45%
3	マリモ	+0.92%

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