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J-REIT市況月次レポート 2020年5月

1.REIT全体市況

5月末の東証REIT指数(配当なし)は、前月比+7.90%の上昇。前月と同様に一ヶ月通してTOPIXに近似した推移となった。
米国の経済再開や国内における緊急事態宣言の解除の期待を背景に、東証REIT指数はTOPIXを上回る上昇率を示し、11日は1,680.63ポイントと2ヶ月ぶり高値を付けた。しかし海外の二次感染拡大や米中対立に加え、11日にインヴィンシブル投資法人がホテルの固定賃料免除や委託料負担により98%減益修正を発表したことも重なり、12日以降4日連続の大幅下落となり、15日は1,553.23ポイントと3週間ぶりの水準まで下落した。月後半は、株式相場とともに再び反発し、18日以降8営業日連続の上昇となり、月末となる29日は終値1,701.03ポイントと、コロナショックで急落した3月19日以来初めて終値ベースで1,700ポイントを回復した。
中期的に見ると、3月19日に付けた安値1,145.53ポイントからコロナ前の高値である2月20日の2,250.65ポイントに対し、1,700ポイントの水準は半値を戻した形となる。経済再開による業績回復が期待される一方、インバウンドや国内旅行等の移動に対する慎重な姿勢や、オフィス需要の変化等、アフターコロナの実態経済や不動産需要の変化を見極めるには一定の時間を要すると見られ、上値の重い展開が想定される。当面は1,700ポイントの水準に収斂する展開が想定されよう。
東証が発表する投資部門別売買動向によれば、5月は外国人投資家が650億円の大幅売越となる一方、投資信託が378億円を超える最大の買越主体となった。個人投資家が3月以降連続買越しとなっている点も含めて、個人の旺盛な投資意欲が伺える。
また日銀の買入状況を見ると、3月に追加金融緩和策の一つとしてREITの年間買入枠を従来の900億円から1,800億円へ倍増したことから、3月は315億円、4月は200億円の買入れを行ったが、投資口市況が落ち着いたことから5月の買入額は95億円と、追加緩和以前の水準まで戻した。

個別銘柄の投資口価格では、全63銘柄うち62銘柄が上昇した。一方、98%減配予想を発表したインヴィンシブル投資法人だけが下落となった。
4月の上昇傾向と異なる点は、4月はコロナ禍の影響が相対的に小さい物流施設系銘柄が上昇を牽引したが、5月は物流施設系銘柄が高止まりする一方、コロナ禍の影響を受け投資口価格が急落したホテル系や商業施設系銘柄が中心となって上昇したことにある。物流施設や住宅系銘柄は既に分配金利回りが低く更なる上昇余地が見込めない一方、割安感が大きく経済再開によって上昇余地のあるホテルや商業施設系銘柄を物色する動きが見られる。このように用途間の価格調整が行われることで、投資口市況はコロナ禍の異常事態から正常なステージへ移行する段階にあると言える。

REIT全体の運用資産残高は、19兆6,984億円と前月比+49億円の微増。4月からの緊急事態宣言下で不動産取引が停滞しており、REITの外部成長は限定的となっている。コロナ禍の混乱期を経て、賃貸需給の変化、キャップレートの水準、ファイナンス環境等へどう影響していくのか判断するには一定の期間が必要と考えられる。

REITの運用業績では、前月に引き続き、ホテルや商業施設を運用する銘柄がコロナ禍による影響を業績予想へ反映する動きが相次いだ。賃料(ホテルにおいては固定賃料)を減免するか否かについては、テナントの経営状況、REITの収益への影響度を勘案して個別に対応している状況。減益の割合は、ポートフォリオの分散度やホテルにおいては変動賃料の比率によって大きく変わる。
なお、コロナ禍の影響が大きいと想定されるホテル及び商業施設特化型の中では、ジャパン・ホテル・リート投資法人は業績予想を未定と公表している。一方、フロンティア不動産投資法人、星野リゾート・リート投資法人、イオンリート投資法人がコロナ禍による業績への影響が未公表となっている。これらの銘柄の業績が公表されれば、緊急事態宣言下における短期的なREITへの影響は概ね把握できる状況になる。
一方、オフィスビル系銘柄においては、短期的な業績への影響は限定的であるが、企業業績の悪化やリモートワーク推進に伴うオフィス需要の変化による中長期的な影響が徐々に表面化することが想定され、昨年まで続いた賃料上昇基調の内部成長は見通し難い。


 <市況データ>

 

2020年 5月末現在

(前月末比)

東証REIT指数(配当なし)

1,701.03

+124.60

東証REIT指数(配当込み)

3,586.37

+273.12

時価総額合計

13兆2,747億円

+9,651億円

平均分配金利回り(時価総額による加重平均)

4.37%

-0.52


<東証
REIT指数と予想分配金利回りの推移>  (グラフは2018年6月~2020年5月の24ヶ月間) 





2.個別銘柄データ

2020年5月末現在
証券
コード
投資法人名 投資口価格
(円)
価格騰落率
(1ヶ月)
予想分配金
利回り
時価総額
(百万円)
時価総額
シェア
8951 日本ビルファンド投資法人 676,000 5.13% 3.18% 954,512 7.19%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 588,000 0.68% 3.66% 814,503 6.14%
8953 日本リテールファンド投資法人 142,200 20.10% 6.33% 372,282 2.80%
8954 オリックス不動産投資法人 155,800 20.12% 4.58% 430,008 3.24%
8955 日本プライムリアルティ投資法人 329,000 10.03% 4.65% 315,264 2.37%
8956 プレミア投資法人 122,100 12.85% 4.62% 160,805 1.21%
8957 東急リアル・エステート投資法人 148,800 3.33% 4.50% 145,467 1.10%
8958 グローバル・ワン不動産投資法人 101,400 10.10% 4.73% 97,535 0.73%
8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 114,200 4.96% 6.02% 356,114 2.68%
8961 森トラスト総合リート投資法人 134,900 12.51% 5.64% 178,068 1.34%
8963 インヴィンシブル投資法人 27,280 -2.47% 0.22% 166,322 1.25%
8964 フロンティア不動産投資法人 350,000 15.13% 6.07% 181,650 1.37%
8966 平和不動産リート投資法人 103,800 8.69% 4.87% 105,341 0.79%
8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 286,500 12.84% 5.08% 259,303 1.95%
8968 福岡リート投資法人 126,700 16.56% 5.37% 100,853 0.76%
8972 ケネディクス・オフィス投資法人 598,000 10.95% 4.70% 256,249 1.93%
8975 いちごオフィスリート投資法人 75,800 10.82% 5.68% 116,147 0.87%
8976 大和証券オフィス投資法人 629,000 5.36% 4.31% 309,391 2.33%
8977 阪急阪神リート投資法人 136,100 16.62% 4.64% 94,617 0.71%
8979 スターツプロシード投資法人 198,700 8.34% 5.46% 50,425 0.38%
8984 大和ハウスリート投資法人 266,400 2.26% 4.09% 585,014 4.41%
8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 44,850 24.58% 8.23% 200,136 1.51%
8986 大和証券リビング投資法人 98,900 9.28% 4.35% 203,333 1.53%
8987 ジャパンエクセレント投資法人 133,300 14.72% 4.47% 180,355 1.36%
3226 日本アコモデーションファンド投資法人 653,000 1.40% 3.05% 316,393 2.38%
3227 MCUBS MidCity投資法人 84,700 12.78% 4.81% 151,115 1.14%
3234 森ヒルズリート投資法人 145,500 4.90% 3.98% 272,807 2.06%
3249 産業ファンド投資法人 176,700 17.80% 3.26% 332,199 2.50%
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 335,500 1.98% 3.34% 464,668 3.50%
3278 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 181,300 6.40% 4.48% 172,463 1.30%
3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 366,500 15.62% 5.27% 282,654 2.13%
3281 GLP投資法人 143,700 3.60% 3.62% 550,862 4.15%
3282 コンフォリア・レジデンシャル投資法人 326,000 1.72% 3.25% 218,949 1.65%
3283 日本プロロジスリート投資法人 304,000 2.84% 3.07% 749,618 5.65%
3287 星野リゾート・リート投資法人 441,500 19.32% 6.00% 97,952 0.74%
3290 Oneリート投資法人 266,700 12.67% 5.58% 63,983 0.48%
3292 イオンリート投資法人 114,000 5.95% 5.48% 213,558 1.61%
3295 ヒューリックリート投資法人 138,600 14.45% 5.10% 181,843 1.37%
3296 日本リート投資法人 378,500 17.00% 4.78% 170,299 1.28%
3298 インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 15,650 9.14% 5.04% 139,273 1.05%
3451 トーセイ・リート投資法人 106,500 10.02% 6.61% 35,838 0.27%
3309 積水ハウス・リート投資法人 67,100 1.67% 4.86% 287,769 2.17%
3453 ケネディクス商業リート投資法人 200,400 17.67% 5.98% 107,450 0.81%
3455 ヘルスケア&メディカル投資法人 124,900 7.67% 5.02% 38,844 0.29%
3459 サムティ・レジデンシャル投資法人 101,300 8.46% 5.54% 60,030 0.45%
3462 野村不動産マスターファンド投資法人 132,500 7.20% 5.02% 624,764 4.71%
3463 いちごホテルリート投資法人 66,700 11.17% 4.80% 17,007 0.13%
3466 ラサールロジポート投資法人 160,700 5.93% 3.48% 219,034 1.65%
3468 スターアジア不動産投資法人 90,400 4.87% 7.33% 48,890 0.37%
3470 マリモ地方創生リート投資法人 108,200 13.54% 6.44% 16,520 0.12%
3471 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 469,000 10.35% 3.01% 206,829 1.56%
3472 大江戸温泉リート投資法人 71,800 20.88% 5.95% 16,898 0.13%
3473 さくら総合リート投資法人 78,800 5.49% 5.26% 26,240 0.20%
3476 投資法人みらい 39,650 8.19% 7.47% 65,908 0.50%
3478 森トラスト・ホテルリート投資法人 102,100 21.55% 6.98% 51,050 0.38%
3481 三菱地所物流リート投資法人 397,000 13.11% 3.00% 121,409 0.91%
3487 CREロジスティクスファンド投資法人 155,000 7.56% 4.07% 53,824 0.41%
3488 ザイマックス・リート投資法人 101,200 9.76% 6.04% 22,608 0.17%
3492 タカラレーベン不動産投資法人 91,000 7.44% 6.59% 42,088 0.32%
3493 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 134,500 5.41% 3.63% 65,367 0.49%
2971 エスコンジャパンリート投資法人 105,500 8.54% 6.40% 29,855 0.22%
2972 サンケイリアルエステート投資法人 103,000 11.23% 4.60% 36,750 0.28%
2979 SOSiLA物流リート投資法人 131,100 8.26% 3.50% 67,431 0.51%

---------------------------------------------------------------------------------------------


予想利回り算出方法:年換算予想分配金(当期予想分配金+次期予想分配金)/投資口価格

但し、 決算期が年1回の銘柄: 年換算予想分配金(当期予想分配金)/投資口価格

※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する 

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する 

※利益超過分配金は分配金に含めて算出する

 

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1 いちごホテル +6.79%
2 MidCity +4.96%
3 イオンリート +4.71%
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